今回は、認知行動療法をベースにしたうつ病コミュニティサイト「U2plus」の東藤 泰宏編集長に話を伺いました。

セルフでできるうつからの回復

Q:U2plusのキーワードは何でしょうか?
A:一番重要なキーワードは「うつからの回復」です。科学的にうつ病の回復に効果があるカウンセリングの手法に認知行動療法というがあります。認知行動療法は対面による方法もありますが、本を参考に自分で書き込みをしながらセルフで行うことができる治療法です。それをWeb上で行えるのがU2plusのサービスです。

一般のうつ病の患者さんすべてが対面の認知行動療法を受けられるのが理想的ですが、現実問題としてカウンセラーの数が少なかったり、費用の面でカウンセリングを受けにくい状況というのがあります。U2plusはそのようなカウンセリングを受ける手前の段階で、ライトに使っていただけるサービスです。

U2サイクル - 自分の落ち込むパターンに気づこう _ U2plus
図1:U2サイクル – 自分の落ち込むパターンに気づこう

SNS的な要素

Q:U2plusのサービスの特徴は何でしょうか?
A:U2plusの最大の特徴は、ユーザが相互に励ましあえることです。海外でもインターネットによる認知行動療法の事例はありますが、ほとんどが1人で行うサービスです。U2plusではSNS的な要素がありますので、ユーザ同士励ましあいながら回復できます。また、うつ病の症状の1つである孤独感を緩和するのにも効果があります。

さらに、認知行動療法に必要な情報を検索しやすいのも特徴です。認知行動療法は書き込みが基本になりますので、途中で断念してしまう方がいらっしゃるのですが、U2plusでは他の人の書き方やユーザの体験を検索して調べることができるため、それらを参考に治療を進めることができるのです。

Q:競合となるサービスはありますか?
A:直接的な競合は現在ありませんが、今後競合となるサービスが出てきて欲しいと考えています。我々のサービスが大きくなるというのは社会にとって好ましくない状況ですので、様々なサービスが登場してうつ病からの回復方法が増えることが一番望ましい形だと思っています。

U2plusのFunCan機能
図2:U2plusのFunCan機能

コミュニティの強化とうつからの回復データの蓄積

Q:今後、力を入れていきたいサービスや機能について教えてください。
A:利用者のインタビューを通して、うつ病の方はコミュニティを求めていることがわかりました。うつ病の孤独感や他の人にわかってもらえない感じを一緒に共有できるコミュニティの形成など、SNSの機能を強化していく予定です。

また、海外ではインターネットによる認知行動療法を用いたうつからの回復に関するデータが発表されています。我々も長期的な視点でうつからの回復に関する定量的なデータ蓄積を行い、役立てていきたいと考えています。

Q:気になっているスタートアップはありますか?
A:株式会社 iCAREさんの健康管理システム「Catchball」が気になっています。Catchballは実際に産業医の方が使っているBtoBのクラウドサービスで、社会に新しい価値観を生み出しているサービスだと思います。

日本ではうつ病になる方が増えていることから、うつ病に対する理解や科学的根拠に基づいた治療法である認知行動療法、うつ病の回復などの情報がU2plusのようなサービスを中心として今後広がって欲しいと感じました。