今回は人工知能テクノロジーを取り入れた対話システムのエンジン開発、適用実験を行っている株式会社Nextremer(ネクストリーマー)の代表取締役 向井永浩さんに話を伺いました。

ホテルの受付などは対話エージェントで対応可能

Q:Nextremerという会社のキーワードは何でしょうか?
A:キーワードは、人工知能テクノロジーを用いた対話エージェント技術です。対話エージェントとは、例えばホテルの受付で人間が質問をするとそれに応えてくれるシステムのことです。我々はその対話エージェントのエンジンを作っています。現在、東京、高知、インドの3拠点でそれぞれ開発を行っています。弊社は40名ほど社員がおりますが、95%がエンジニアなのが特徴です。

人工知能の領域は、1社の技術だけイノベーションを起こすのは難しい側面があると考えています。そこで我々はオープンイノベーションとして大手の企業様等と研究開発も積極的に行っています。それと並行して、自社で独自に開発を進めている対話エージェントのエンジンもあります。自社で開発しているものについては、将来的にオープンソースなど技術公開ができればと考えています。

これまでは対話エージェントの研究開発がメインでしたが、現在は対話エージェントの適用実験を開始しています。人間との会話の内容が、ある程度が絞られる領域、例えばホテルの受付など、やりとりの内容が定型化している領域では、我々が開発した対話エージェントのエンジンで対応できつつあります。

AIサムライでワールドツアー / 人工知能のキツツキ ピクレトリ

Q:「AIサムライ」とAndroidアプリ「ピクレトリ」について教えてください。
A:AIサムライ」は、侍の甲冑を着たロボットで人間と対話できます。対話エンジンのアピールのために開発しました。AIサムライはアメリカを皮切りにワールドツアーを行う予定です。AI-Samuraiには複数の人工知能技術が搭載されています。例えばOpen CVを用いた顔認識、Deep Learningを用いた個人認識、そしてCore NLPを用いた自然言語処理、アクチュエーターの駆動が可能となっております。また、会話履歴や取得した画像データは機械学習され、話者に適した会話になるよう最適化を実施します。理論的に構築されたA.I.ではなく、ロボットが実際の体験から学ぶA.I.を作り上げることを目指し世界を行脚します。

また、対話エージェントのエンジンを使用した『あっ、あれ忘れてた!』をなくすお手伝いをしてくれる、リマインドアプリ「ピクレトリ」のβ版も公開します。いつ、どこで、何をしたいのか声で簡単に登録ができ、登録した日時・場所に移動した際、ピクレトリがリマインドをしてくれます。これは人工知能に関連する技術の一つ、”言語理解”を用いたアプリで、多くの方に使っていただくことですこしずつ成長し,皆様のお役に立ちます。

ピクレトリ
図1:リマインドアプリ「ピクレトリ」

アプリに『明日スーパーで卵を買う』と話しかけるだけで登録は完了し、翌日スーパーに着いた時にピクレトリがお知らせしてくれます。これは、人工知能に関連する技術の一つ、言語理解という自然言語処理の基礎技術を用いたアプリで、ユーザーの言葉を【場所に関係するもの】【日時に関係するもの】など、自動的に分類/分解して理解します。またキャラクターのピクレトリは人工知能のキツツキです。音声データと操作ログを個人が特定できない範囲で分析し賢くなります。

ピクレトリがお知らせ
図2:ピクレトリがお知らせ

Q:対話エージェントや対話システムで注目している企業はありますか?
A:やはりアップルのSiriです。また、最近チャットボットに力を入れている企業にも注目しています。

Q:使っているテクノロジーについて教えてください。
A:自然言語処理の部分では、Python、C++、Javeを使っています。対話エージェントのエンジンはJaveで開発しています。また、ディープラーニング系では現在はCaffe中心でやっております。対話エージェントのシステムは、様々な技術と弊社独自のエンジンを組み合わせて構築しています。

アプリ等を開発する際は上記に加えて、サーバサイドにRubyやnode.js、フロントエンドはCordovaを使ってWebでライトに作ることが多いです。

また、インフラはAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどのクラウドを使用しています。

対話エージェント(人工知能)と人間の連携が重要

Q:今後、力を入れていきたいサービスや機能について教えてください。
A:対話システムのエンジンの中でも、自然言語処理について特に力を入れていく予定です。音声のデータだけで処理を行うのは限界があるため、今後はマルチモーダル・インタフェースによって対話の精度を高めていきたいと考えています。

また、対話エージェントだけで完結するというよりも、対話エージェントと人間の連携による運用が今後重要になると考えています。

Q:気になっているスタートアップはありますか?
A:人材紹介の分野で人工知能技術を適用しているサービスが気になっています。例えば、候補者のリストアップやスクリーニングを人工知能に覚えさえて自動で行ってくれるPrediktなどです。

またディープラーニングは弊社でもある程度結果が出ていることから、日本だけでなく海外を含めてディープラーニングを活用した事例に注目しています。

人工知能の中でも対話エージェントは、人間と直接やりとりすることからわかりやすいシステムなので、人工知能分野で最初に伸びていく分野になりそうです。

・参考リンク
AI-Samurai
ピクレトリ -「忘れてた!」をなくすアプリ