今回は、装着して人間の力の補助をする「パワーアシストスーツ」の販売をしているアクティブリンク株式会社の代表取締役社長 藤本弘道さんに、同社のパワーアシストスーツ活用の可能性や強みについて話を伺いました。

力の面で障壁がない「パワーバリアレス社会」を目指して

Q:アクティブリンクとしてパワーアシストスーツに込めたキーワードは何でしょうか?
A:1つは「パワーバリアレス」ですね。「パワー=力」の面で、「バリアレス=障壁がない」こと。つまり、力の差がハンデにならない社会の実現に貢献したいという思いです。

もう1つは技術的なキーワードで、「ロボット技術のパッケージング」。弊社のパワーアシストスーツは、電子的、情報処理的ないわゆるハイテクだけでなく、ローテク(工学的技術)を積極的に取り込んでいくことを意識して開発しています。ローテクにはハイテクとはまた違った安定感や安心感がありますから、両方を組み合わせることで、製品としての堅実性を高めているんです。他にも、コスト面での効果もありますね。良い商品は「尖った特徴」「優れたデザイン」を備えていると同時に「値ごろ感」もあるものですが、ローテクは、この「値ごろ感」にも貢献してくれます。

パワーローダーのある世界
図1:パワーローダーのある世界

Q:パワーアシストスーツを開発しようと考えたきっかけは何だったのでしょうか?
A:学生の頃からSFが好きで、小説や映画で描かれるような未来を実現したいと思っていたということもありますが、もっと現実的な問題意識もありましたね。

1つは高齢化社会の問題です。現在、日本をはじめとする先進国では、社会の高齢化が問題視されていますが、近い将来、発展途上国でも同じことが起こるはず。そうなれば世界的に労働人口が減少して、労働力不足が恒常化する可能性があります。でも、パワーアシストスーツで労働負荷を軽減し、作業を効率化できれば、労働力不足の解消につながるのではないか。開発にはそんな思いも込めています。

林業、物流、建設の現場で

Q:力を補助する製品ですから、現在はおもに物流や建設、工場などの現場で利用されていますが、おそらく今後は、農業や林業などの分野でも利用されていくだろうと思います。また、現時点では、汎用分野を意識しつつ開発を進めていますが、弊社のパワーアシストスーツの開発機の中にはハイパワーが出せることを特徴としているものもありますので、災害救助などの特殊環境でも活用できるはずです。

もちろん、医療や介護の領域にも可能性はあると思っています。作業の対象がモノからヒトになると、必要なデザインや技術がちがってきますから、現状のパワーアシストスーツをそのまま利用するわけにはいかないでしょうが、今後はそのための研究開発にも取り組んでいきたいと考えています。


図2:軽作業に活かせる「アシストスーツAWN-03」

徹底して現場を意識した技術とノウハウ

Q:アクティブリンクならではの製品の特徴といえば、どんなものがありますか?
A:1つは「ダイレクトフォースフィードバック」ですね。これはパワーアシストスーツの挙動を操作者が直接的に感じることができるシステムで、我々のハイパワーアシスト技術を象徴するものです。さらに、装置自体が関節の角度や力を読み取るセンサーを備えていて、人の動きに合わせて動きますから、操作者はかなりのレベルで直感的に動くことができます。もう1つ、「短時間で装着して使える」ことも特徴です。特に汎用分野では「すぐに使える」ことが重要視されますから、装着時間が30秒以内になることを開発のコンセプトのひとつとして掲げています。

この2つからもわかるように、現場に即した知見やノウハウを豊富に持っていることが、我々の最大の強みですね。人間の動きは単純に計算できないところが多く、現場に出てはじめてわかることがたくさんあります。ましてや、パワーアシストスーツは、必要とされる場所も技術も広範囲に及びますから、どうしても机の上だけでは予測しきれない部分がある。だから我々は創業以来、常に現場と一緒になって実用化を強く意識しながら開発に取り組んできているんです。その点は、大学や研究機関とはまた異なる特徴といえるかもしれません。

Q:幾つかの製品がありますが、それぞれの違いはどこにあるのでしょうか?
A:一番大きなパワーアシストスーツ「パワーローダー」は、主に研究目的で制作したものです。そこから得られた知見をもとに生まれたのが、脚力を増加させるのに必要な技術を取り出した「パワーローダーライト PLL-01」であり、2015年に量産をはじめた、腰の負担を軽減して主に軽作業に活かせる「アシストスーツAWN-03」です。

さらに現在は、「パワーローダーノービス PLN-01」をベースに、全身の軽アシスト用のパワーアシストスーツを2017年の実用化をめざして開発中です。

映画や小説に出てきたパワーローダー(『エイリアン』)やパワードスーツ(『宇宙の戦士』)が、実際に物流などの現場で利用されており、まさにSFが現実になりつつある分野だと感じました。アクティブリンク社では、海外からの問い合わせも多いそうで、今後、世界の様々な分野でパワーアシストスーツが使われ、普通に見かける風景になるかもしれません。