今回は、自分で作るロボット工作キット「Rapiro(ラピロ)」を生み出したKILUCK: 機楽株式会社の代表取締役 石渡 昌太さんに話を伺いました。

Kickstarterから生まれたRapiro

Q:Rapiroを製作しようと考えた経緯について教えてください。
A:元々Rapiroのプロジェクトの前に、Tailly(テイリー)というプロジェクトをKickstarter(キックスターター)で出していました。当時はKickstarterが海外で話題になっていて、日本でも話題になりはじめていていたのですが、日本人が参加している方は少なく、参加していたとしてもジブリやプロダクションIGといった大手企業のプロジェクトや、ロックマンを作っていた方のプロジェクトなど、アニメやゲーム業界の成功例がありました。しかし、ハードウェア、プロダクトのカテゴリでは日本人の成功事例がなくて、日本はものづくりの国と言われているので、Kickstarterのようなサービスをもっと活用していくのが良いのではないかと考えていました。

そのような背景があって、まずTailly(テイリー)というプロジェクトを行いました。金額は200万円ほど集まったのですが、必要な目標金額に達しなかったため、製品化を行いませんでした。FacebookやKickstarterのユーザ分析の機能のデータをみた結果、Tailly(テイリー)のプロダクトは資金の集まりは悪かったのですが、18歳から24歳の女性がとても興味を持っていて、話題になっていることがわかりました。その次に人気だったのは18歳から24歳の男性で、若い人が興味を持っていたのです。

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図1:海外の展示会の様子

18歳から24歳の方はそもそもインターネットで買い物する機会が少ないですよね。また、Kickstarterにはクレジットカードが必要になりますが、クレジットカードを持っていたとしても、なかなか使える方も少なかったりします。Tailly(テイリー)のプロジェクトでは「お店に並んだら買いたいです」や「製品ができるの待ってます」というようなコメントをたくさんいただいていたのですが、クラウドファンディングってお金が集まらないとお店にも並ばないんですよね。そこの部分って伝わらないんですよね。

クラウドファンディングのユーザ層って男性が8割で、年齢層が高めで20代後半から30代です。そこでそのターゲット層に向けた製品を作ろうと思ってRapiroを作りました。また、Kickstarterで出すにあたって、海外の人にも伝わるもので日本的なものが良いだろうなと考えました。日本といえば、やはりロボットだろうと。それは海外の人も思っていることですので。

新しいことにお金をすごい払ってくれる方ってアメリカ人が多いんですよね。で、アメリカってトランスフォーマーとかガンダムを普通にテレビで放送してるんですよ。だいたい同じものをみて育っているので、僕と同じ年齢ぐらいの人たちが、「これ欲しい!」と思ってくれるようなものを作ればお金が集まると考えました。デザインも一昔前のロボットアニメのようなものが良いと思って作りました。

Kickstarterで集まった金額のうち、7割が海外の方で3割が日本ですね。販売でいうと8割が日本で2割が海外です。販売のメインを日本の代理店にお願いしていることもあって、日本で売れていますね。海外にもディストリビューターの方はいて、ロボット専門店では扱ってもらっています。今のところ、合計で2,000台ぐらい出荷していますね。

Raspberry Piでカスタマイズの幅が広がる

Q:キーワードとなるテクノロジーは何でしょうか?
A:Rapiroは、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)を組み込むことを想定した上で作っています。Raspberry Piによって様々なことができるようになっていてるので、僕よりもユーザの方が詳しくなっていると思いますね。海外のユーザの中には、Raspberry Piを使っていろいろとカスタマズした動画はアップしてくれている方が結構いらっしゃいますし。

Rapiroはキットなので商品として完成しているものと考えていて、付け足したいのはユーザさんが自分で追加していくことになります。RapiroにはArudino互換基盤が付属していて、プログラムは書き込んで出荷しているのですが、そのプログラムはgithubで公開しています。

Ishiwatari/RAPIRO – GitHub

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図2:頭部にRaspberry Piの基盤を格納できる

Q:今後、力を入れていきたいサービスや機能について教えてください。
A:ロボット掃除機を作ろうかなと思っています。ルンバみたいなものなのですが、ルンバとはまったく形が違うものですね。掃除機については、どこもUFOみたいな感じじゃないですか。どこも違いがなくて。で、AIBO(アイボ)みたいなものがあっても良いのかなと。最近、動物型のちゃんとしたものがないなあと思っています。

Q:日本と海外ではロボットに対する温度感に違いはありますか?
A:日本人はロボット好きだと思いますね。興味を持つという観点では海外の人も強いのですが、日本ではロボットが結構当たり前になっているとうか、見慣れているというか。海外の方が簡単なことでも驚いてくれますね。好きな人の割合でいえば日本の方が多かなという印象です。

Q:気になっているスタートアップはありますか?
A:普段の考え方として、面白いものは読み飛ばすことが多くて、製品を作る側に立っていると、こういうものがあったら良いなとか、不満に思っていることには興味はあるのですが、リリースされているものはあまり興味なんですよね。

ありがとうございました。

今後ロボットは我々の生活の中に入っていくプロダクトです。Rapiroはそのままでは普通の方が使うのは難しいですが、Rapiroのようなキットを使ってカスタマイズされた製品が今後登場していくと、日本でもロボット市場が活気づきそうです。Tailly(テイリー)などのプロジェクトも興味深く、石渡さんの今後のアイデアと活躍に注目していきたいと思います。